徒然なりまする。

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悪徳令嬢5000兆円無双(漫画レビュー)



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設定

ギャグ漫画、ということでいいのでしょうか。ネタの詰め込み具合がとても面白いです。

「この漫画はどのようにして生まれたか?」おそらくですが、かつて(今も?)Twitter界隈で大いに流行った「5000兆分欲しい」のネタを基にしたと思われます。題名にもありますし。「じゃあ、5000兆円持った令嬢を主人公にして、金に物を言わせて色々解決するプロットを作ろう」みたいな感じで始まったのでしょうか。この話だけでもわかるように、多分この漫画はハイコンテクストな漫画と言えるかもしれません。

登場人物

基本はこの犬飼千冬とその執事山田ゲパルトを中心に話が進みます。

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それと、個人的にかなりお気に入りなのが、準レギュラー的立ち位置の公安警察柴田純(偽名)です。

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くっ殺状態になった時のコマが↓ですが、f:id:doatamakita:20200401200440j:image
えっちぃという観点ではなく、真面目な話で、この立体感はちょっと並のセンスではない気がします。言葉では説明しきれませんが、このニュアンスは他の人には出せないと思います。

豪快さと勢いが魅力

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第一話をめくると、いきなりこの出だし。漫画を作るに当たって必要なのは、設定を練った後、それをどう表現するか考えることです。しかし、さもそのプロセスを無視するかのごとく、開幕これです。こうした豪快さがこの漫画の魅力の一つです。

設定の強引さを、この漫画の様式美として楽しめるのが面白いです。細かいところを説明しなくてもよい、シンプルさの魅力がありますね。

魅力的な漫画を作るために必要なこと=型

「魅力的な漫画を作るために必要なことは何か?」その答えは一つであるとは思いませんが、最近よく思うのは「描いている漫画の決まった様式や型を確立すること」です。この漫画では、以下の型が確立されていると思います。

 

  • 冒頭で必ず金に関する格言を載せる
  • 無作為に3つの物の金額を蘊蓄(あるいは全く意味のない知識)として載せる
  • 祖父の新しい二つ名と共に主人公(犬飼千冬)を毎回紹介
  • 千冬が思い付きで「これをしたい」と執事に要求
  • 金を暴力的に使用して荒唐無稽な方法で問題を解決する、演出は派手に
  • 最後は必ず消費した金額(ゲームのリザルトに近い)を載せる
  • 一話完結(10話例外)

この型があるため、新規読者はどの話数から見ても難なく楽しめるようになっています。ただし、10話が今のところ唯一の例外となっています。この10話には本当にノックアウトされましたね。ハイコンテクストと言いましたが、その最たる例かもしれません。特に最後のコマですね。ここまでの発想が今の漫画に求められているということなのか、ギャグ漫画家だからこそ柔軟な発想ができるのかわかりませんが、とにかく必見です。

一話完結型は面白い

加えて言うと、今のところ、基本的には一話完結となっています(例外アリ)。一話完結型の漫画は、面白いです。しかし、実現するのはとても難しいです。面白い話を思い付いても、それを一話という限られたページ数に収めるのには高い技術が要りますし、またそれを継続するのは、ネタ切れとの戦いになります。イメージ的には、熟練の漫画家がオムニバス的に今までの人生経験をサラサラっと一話にまとめていくような感じだと個人的には思います。ブラック・ジャック神のみぞ知るセカイ、江波くんは生きるのがつらい等、面白いものばかりです。

それにしても10話の衝撃よ。