徒然なりまする。

徒然なりまする。

とりあえず自分の気に入った漫画のレビューとか書いていきます ついった→https://mobile.twitter.com/dtmer15

マザーグールの考察(化け物について)

と、いうわけで前回に引き続いて「マザーグール」の個人的な考察記事になります。

ネタバレ全開です。

まだ本編を読んでない人は、見ないことをお勧めします。

というか、本編読んでないと何言ってるかわけわかめだと思います…

 

しかし、あくまでこれは自分の考えた考察記事なので、この記事=物語の真実とはならないわけなんですが。

とはいえ、現時点(2019/7/5)ですでにある程度の情報は作中で開示されてしまっています。

それらは散らかったパズルピースのようなもので、あとはキャラクター達が上手くそのピースを組み合わせれば謎は解き明かせそうな雰囲気があります。とはいえ、このマンガがどのくらいのスパンで構想され、何話くらいで完結するのか見当がつかないので、その予測は早計かもしれませんが‥‥

とはいえ、幸いなことにまだ決定的な場面まで物語は進んでいないので、種明かしされる前に、自分である程度の考察を書いてみたいと思います。

ちょっと一回にまとめきれそうにないので、とりあえず今回は例の「化け物」に焦点を絞ります。

 

化け物の由来について

「一体あの化け物はどうやって生まれたのか?」

 それを考えるには、一番は例の神話みたいな文章が大事なのでは、と思います。

f:id:doatamakita:20190708011907j:plain


こういうやつですね。前提として、この語りをこの漫画上の歴史的事実と捉える必要があります。ただのおとぎ話、と捉えることも可能ですが、意味なくそうした話を挿入するとも考えにくいので、自分は純粋にこれは作中では史実だったんだろうなと思います。
で、その語りの部分だけを抜き出して、要点だけ搔い摘むと次のようになりました。

  1. 遥か昔、無人島に、テレパシー等の神秘的な力(手から火を出す、空中を歩くといった、人知を超えた能力)を持った一団(一人の乙女と14の子供たち)が流れ着いた
  2. しかしながらある時期から、テレパシーが使えないが代わりに言語を使用する子供たちが現れた
  3. テレパシーの使えるグループは、テレパシーが使えなくなった子供が現れた原因を言語に求めた
  4. 彼らは言語を使えるグループと一緒にいてはテレパシー能力が奪われてしまうと考えたため、両グループは別れ、対立した
  5. この島にはその後も何人も人が漂着してくるが、中には例の乙女たちに乱暴するものもいた
  6. テレパシーを使えるグループの子供たちは、成長していく自分たちの体がそうした者たちに似てくることに嫌悪感を覚えた。
  7. その中に、それならいっそ成長するのを止めてしまうことにした(=不老不死という人知を超えた能力?)少年がいた
  8. その少年は、テレパシーの使えない一人の少女に恋をした
  9. 少年は愛する少女との子供を作ろうとしたが、少年は成長を拒否しているので子供は生まれない
  10. そこで、少女が死んだ際に、その魂をかき集め、自分の肉体と彼女の肉体で六体の理想の子供を形作った
  11. それらを別の少女の腹に埋め込んだ
  12. 結果例の化け物誕生
  13. その化け物の子孫が、作中に登場する化け物

まあ、更に大雑把に言うと、

人の肉体のパーツを生きてる女の腹の中に埋め込んだら人外の化け物が生まれちゃいました

ということなんじゃないかな、と思います。

 

24話では、この辺のまさしく核心が説明されてる気がします。

f:id:doatamakita:20190708014551j:plain

六つ、と語られており、学院生に孕まされた卵の数と一致しますので、そういうことなんだろうと思います。

f:id:doatamakita:20190708014605j:plain

で、どういった理由で生まれた子供が化け物になってしまったのかについて、自分は二つ可能性を考えました(と言っても、ある意味二つとも同じような意味と言えなくもないのですが)。
一つ目は、人間として不完全だったからですね。それを説明する為に、実際の神話をモデルにしてみたいと思います。
「人の肉体のパーツを生きてる女の腹の中に埋め込んだら人外の化け物が生まれちゃいました」みたい神話、どこかで聞いたことある気がするんですよね。イスラム教かゾロアスター教か、それとも宗教以外の神話か…
元々キリスト教の出てくる漫画ですからそれかな?と思って調べたんですけどそれらしいものは出てこなかったですね。確かアブラハムについてそんな逸話があった気がするんですけど…わかる人がいたら教えて欲しいです笑
で、意外なとこでエジプト神話のオシリス神のエピソードが見つかりました。
それは、「オシリスは体をバラバラに切断されて川に投げ捨てられたけど、別の神のイシスがそれを集めて、呪文で復活させた。しかし生殖器だけが見つからず、代用したため、不完全な復活を遂げ、復活したオシリスは死者の神として生きることになった」というものです。
注目したのは、復活したオシリス「死者の世界の神として生きることになった」という点です。つまり、生前とは違う生き方になったということであり、何か邪悪な方にシフトしたというところです。
今回の化物に、それが当てはまりそうだな、と感じたのです。

例えば、こんなことがあったのではないでしょうか?

理想の子供を作ろうと少年は頑張ったわけですが、「少女の魂をかき集めようとしたんだけど残念ながら魂の一部が見つからなかった」。そして、その不完全なままの状態で新しい命を作ろうとしたためにあんな化物になってしまった、なんてことが考えられますね。そうなると、大事な人の魂を失くすか?という結構間抜けな話になりますが、こういうガバガバな所は神話ではよくありそうなので、おかしくはないと思います。人間に必要な要素を足りないままにしていては、普通の人間が生まれてくるはずはないということですね。でもこれって、余談もしれませんが、「魂とは部分部分で分けられるもの=一つの完全にまとまった不可分のものではない」という前提にそもそも立っているのですが。

まあ、そのあたりにまで本作で言及するのかは不明ですが、人の魂なるものが実在するなら、それって不可分なものなんでしょうか?

いずれにせよ、25話あたりで今の「魂の一部が見つからなかった」なんて神話の語りが登場してもおかしくはないと僕は思います。

とはいえ、自分は二つ目の可能性のほうで考えています。というのは、魂が見つからなかったなら普通その場で気づくのでは?と思うからです。それ以降でそういう情報が出てくるのは、後乗せサクサク感があります。しかしながら、可能性を否定することはできないと思います。

 

もう一つは、倫理的な禁忌を犯したからですね。化け物が前述の経緯で生まれたとすれば、バラバラの人間の肉体で構成されたもの=完全な人間(普通の人間)とは言えないわけですよね。というか、そうした方法で新しい命を誕生させること自体何か人間倫理のタブーに思えるのですが…というか、そんな人間の作り方は神の摂理に反してる気がします。

そうして、倫理観を無視した方法で生まれたゆえに、その子供はあんな化け物になってしまった、ということなのかなと思います。これを、「人間が超えてはいけない一線を越えたために、神が罰(=化物)を人間にもたらした」という風に解釈するのは、神話的には結構あり得るものだと自分は思います。

ここまで、二つ可能性を上げましたが、気づいた人もいると思いますが、実は考え方によっては一つ目の可能性は二つ目の可能性に収束されます。二つ目の可能性が、より根源的な原因ということですね。

  1. 物質的に不完全だった
  2. 禁忌を犯した

もう、要は道徳的な解釈の問題になります。科学的に分析する考え方だけでは行き詰まってしまいます。

1と2が別々の話なら、要は「完全な人間」をもう一度作ればいいだけです。今度は失敗しないように魂を全部集めて作れば、多分うまくいくんじゃないでしょうか。

でも、自分はそうではなく、決められた方法以外での生殖自体がそもそも禁忌であり、それ以外ではどうやってもうまくいかない、という風な話ではないかと思っています。その場合は、例え肉体や魂を全部揃えてやってもうまくいかなくなります。じゃあ、人間に必要な要素は魂と肉体だけでなく、ほかに何かがあるはずだ…と思ってそれを探って何度試みたところで、永遠に人間は生まれないのです、多分。

ここまで自分の解釈をまとめると、

人間のバラバラの肉体と魂を女性の腹部に埋め込むというやり方で新しい生命を作ろうとしても、それは神の摂理に反するので化け物しか生まれない。そもそも決められた生殖方法以外が禁忌なので、それ以外ではどうやっても化け物しか生まれない

ということになります。割とオーソドックス(?)な神話的解釈になってしまいましたね。

 

 

化け物=理想の子供?

しかし、これまでの話を覆すようですが、あの化け物の誕生を少年はどう思っているのでしょうか?

これまでは「予想外の化け物が生まれてきてもう最悪」みたいに思ってる体で話してきましたが、実はあれを理想の子供と思って満足してる可能性もあるのではないでしょうか。

「理想の子供」とは、例の二人の少年、少女(?)にとってのものです。それは

f:id:doatamakita:20190708142528j:plain

 「聞こえる聞こえないの対立に巻き込まれない」、「美しい」子供です。つまり、それらの条件を満たしていれば、彼らにとっては理想の子供ということになります。

ただ、正直この辺はまだちんぷんかんぷんです。あの化け物同士で対立してるシーンは今のところないので、その意味で対立はしていませんが、そういう意味なんでしょうか?でも、罪もない少女たちを殺戮していますしね。

美しいというのは、現代の日本人(=私たち、学院生たち)からすると対極のようですが、例の少年少女らからするとどうでしょうか。彼らは、美の参考品として、漂着物の書物や仏像、マリア像などを参考にしました。その中に、画像からわかるように阿修羅像のような、腕が何本もある仏像が見て取れます。そういえば、化物の腕もこれくらいの本数だった気がしますので、その意味で、化物は仏像の美を含んでいるのかもしれません。

 

とりあえず、今回はこの辺で終わろうと思います。正直まだわからないところだらけですし、結構強引な解釈のところもあった気がしますが、少しでもこの考察が本編と重なるところがあればうれしいですね。

次もマザーグール考察記事を書きたいですが、テーマは未定ですし、次は何書こうかな、という感じです。

7月10日にComic ryuで25話が更新されるはずなので、楽しみです。